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数ヶ月前にほぼ書き上げたゲームブックアンソロ原稿から抜粋ですー。 「どーしたんだよ、ナナ?」 カインが肘をつついて耳打ちしてくる。手にしていた扇子で口元を覆うと、あたしは素っ気無く「どうもしないわよ」と答えてみせた。 「どうもしない、だって?…退屈が服着て歩いてるって顔してるぜ、お前?」 「ええ、退屈よ。でも仕方ないわ。このまま誰かと結婚して、国を治めて--。そんな退屈の連続があたしの今後の人生なのよ。」 「…おいおい。それが花婿選びの夜にお姫様が口にする言葉かよ?」 「好きな人がいても仕方ないわ。」 「いるのかよ!?」 あたしの言葉に、カインはわざとらしく動揺する。 「何よ?あんたには関係ないことでしょ。どうせ勝算はないんだから、とっくに諦めてるわよ。」 「ああ--。まあ、そう気にするなよ。別にミリアのほうがナナより美人ってわけじゃねーぜ?ただ、好みは人それぞれってだけだからさ。」 勝手にローレシアの王子だと誤解してる。ああ、本当に鈍い男。 「…あんたもからかいに来たの?冷やかしならお断りよ。」 「おいおい、おれがナナにプロポーズに来たってどうして考えられないのかね?」 「何言ってるの!?冗談にしては笑えないわよ!?」 きっと睨むと、カインはあたしの肩に置こうとしていた手を引っ込めた。「…おっと。」と気まずそうに呟く。 こうやって、旅をしていた頃のような気安さで接するのはもう止めてほしい。変な期待をしてしまいそうだから。
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